コラム


�エスパー能力の秘密
 第2回で、高畑が魔美と仲直りしエスパーガンを手渡したときのセリフを引用しよう。
「君の超能力は、何か危機に瀕したときに分泌される、脳内アドレナリンの作用と関係しているんじゃないかと思う。これ(エスパーガン)で自分を撃てば、銀玉がぶつかる瞬間に、何らかの能力が発揮出来るはずだ。銀玉が自分に当たると、痛いって思うだろ?その瞬間の危機感を人工的に作り出して、君の脳内アドレナリンを引き出すんだ。」
 原作とは解釈の違う考え方だが、原作「エスパーはだれ?」で高畑のこんなセリフがある。
「自分をギリギリの状況においてみるしかないな。自分が、またはほかのだれかがあぶないという……そんなせっぱつまった時じゃないと、能力はあらわれないのかも…」
 おそらくこのセリフから発想しアレンジしたのが、前記のドラマ版のものなのではないだろうか。
 要するに、ドラマ版では魔美が危機的状況を感じるか、気合いを入れれば超能力が使える。またエスパーガンは魔美の超能力を引き出すための道具であり、テレポーテーションのためだけのものではない。逆に言えばちょっとしたことならエスパーガンは必要ない。一方、より強力な超能力が必要な時はエスパーガンから銀玉を連続発射する必要があり、実際第4回では夜空にUFOを飛ばすために、高畑が魔美の額に向かって連続発射をしていた。原作なりアニメでの設定を念頭において観ると「???」と思ってしまうが、ドラマ版設定を理解すれば納得するハズだ。
 魔美の超能力は日々進化しているが、この第4回の時にかなり鍛えられたようだ。第3回では飛んできた紙飛行機が魔美に当たりそうになる瞬間に無意識にテレポートしてしまうが、第5回では「透明ドラキュラ」ラストシーン撮影のため高所から飛び降りなければならないという危機的状況にも関わらず、自らコントロールして超能力の暴発をふせいだ。第6回では時空を飛び越えたりもしている。池に沈んでテレポートする荒技も披露。しかし第7回ではスランプに陥ったり、第8回では機能不全になったりして……。最終回でも超能力使用不能となるが、これはグレードアップのための準備期間だったようだ。最終的にはエスパーガン無しでパリ・名古屋間を一気にテレポート出来るようになった。スゴイぞ、魔美!
 第11回では破片についたわずかな残りを頼りに、秘伝の味噌をなみなみと復元した。理屈では説明できない現象に原作ファン的には「?????」だが、ドラマ版では超能力は、奇蹟を起こす魔法のようなものとして捉えられているので、こういう芸当も可能なのだ。第7回では夜空に浮かぶ月を動かし、月光をコントロールする大技も見られたが、これも言わば奇蹟。たちまち溢れる神秘の力。これがドラマ版の世界なのだ。
 ドラマ版はドラマ版で独自の世界観を打ち出しているので、「原作と違〜う!」などと言いだすのはお門違いなのであった。しかし、劇中での説明不足感は否めない。筆者もビデオを観返して「あ〜なるほど」とやっと気がついたぐらいだ。どうやら短期シリーズ故の弱点を露呈してしまったようだ。

�秘伝の味噌の秘密
 まずはこれを創り上げた、高畑の父(故人)から語ることにしよう。
 高畑の父は二十年前に居酒屋「弥生」を開店する。「弥生」とは彼の妻であり、高畑和夫の母の名前だ。このことから、少なくとも二十年前にはやよいと結婚、あるいは婚約していたと見ていいだろう。そして店の経営の傍ら独自調法の味噌を失敗に失敗を重ね、十数年かけて完成させる。あの店の雰囲気からして恐らく、聖天宮を始めとする常連客に試作を試食してもらうことも有ったのではないだろうか。その一方では製法は極秘で、妻のやよいですら知ることはなかった。
 近年になってようやく完成した味噌の製法が伝えられなかった理由として、健在だった頃の素行に問題が有ったようだ。 第6回で高畑が魔美に夫婦の奥深さを語った時のセリフを引用しよう。
 「僕の死んだ父さんは、大酒飲みでギャンブルばっかりしてた。母さん、年中「お前なんか死んじゃえ」って言って茶碗投げつけては父さんの悪口言ってた。だけどね、実際に父さんが死んだら、母さんは顔の形が変わるほど泣いたんだ。「あんないい人はいなかった」って。今でも仏壇に毎日新しいお花供えてるんだ。訳分からんでしょう。」
 死因や時期は不明(少なくとも、高畑和夫の弟が生まれた頃には健在だった)だが、おそらく事故で急死したのではないか。それもつい最近。だからこそ味噌の製法は伝えられず、やよいは製法の判らぬ秘伝の味噌を、継ぎ足すことなく遺された分だけでしのいできたのだ。しかしそうなると、近いうちにすぐに底をついてしまう。過労でやよいが倒れ、味噌が失われたときに閉店を覚悟したのも、いつか来るこの瞬間が、認めたくないが解っていたからだろう。
 名物「味噌はんぺん」は失われたが、しかし魔美のパパが考案した新名物「味噌ハンペング」(ちなみに市販の味噌を使用したようだ)でなんとか閉店の危機は脱した。様々な人達に支えられる居酒屋「弥生」だからこそ、今度はやよい自身が考案した料理が新名物となるであろう。




トップページに戻る